経済サイクルを覚えよう
基本的に経済には流れが存在し、必ず循環します(経済サイクル)。
景気が良い時に好調な企業、悪い時に好調な企業がそれぞれあることを覚えておきましょう。
上の図では、経済状況によって強いセクターが分かれていることをそれぞれ表しています。
例えば、不況期になってもなぜ『ヘルスケア』『生活必需品』セクターが強いかといえば、
生活するうえで必要な『食材、トイレットペーパー、洗剤』などの日用品は、
経済が悪いが良かろうが関係なく売れるため、景気の影響が軽減してくれます。
リセッションの予兆
リセッションとは(補足)
景気が下降している状態、景気後退のことを表します。米国では一般的に『国内総生産(GDP)』が二四半期連続でマイナス成長となった場合リセッションとみなします。
・ 名目GDP
単純に国の売上合計
・実質GDP
為替変動、物価変動も考慮して割り出した合計
① 逆イールド
長期間の債権は償還までの期間中に市場環境の変化を強く受けてしまい多少リスクを伴うため、投資家は高い利回りを要求しますが、
インフレ抑制のために中央銀行がテーパリングをおこなうと、1〜3年は利上げが続くと予想できるため、近い将来を織り込む2年債などの短期利回りが上がってしまいます。更にテーパリング後の『利上げ』の影響でリセッションになってしまった場合、すぐに『利下げ』を行い調整に入ると投資家は予想するため長期債の利回りも上がりづらくなってしまいます。
市場予測は非常に速く動くため、2年債と10年債の利回り逆転で景気後退を織り込んでいきます。FRBが重視する指標は『3ヶ月債と10年債の利回り逆転』、1960年後半から8回あった景気後退のすべては事前にこれらの利回りが逆転しています。
つまり一番重要なことは、長期債券保有者が景気後退を懸念すると逆イールドが起こるということ。過去のデータから逆イールド現象が起こってから1~2年で実際に景気後退に落ち入ってます。
なぜ逆イールドが景気後退に繋がるのか
銀行にとって短期金利は預金や短期市場を通じた『調達金利』、中期や長期の金利は『貸出金利』にあたります。逆イールドが起きれば、調達金利が貸出金利を上回ることになり、銀行は貸し渋ったり、貸出金の回収を急いだりするため、景気後退に陥りやすい状況が生まれます。
米債券市場では『20年債と30年債』『5年債と10年債』の組み合わせでも逆イールドが起きていますが、景気後退の予測としてはほとんど意味がないため、短期的かつ長期的な景気の影響を受けやすい『3ヶ月債と10年債の利回り逆転』『2年債と10年債の利回り逆転』を意識することが重要です。
③ ISM製造業景況感指数
ISM製造業景況感指数が50%を下回る、もしくは上値から50%に近づくに連れて景気後退が意識されてきます。
④ 卸売と小売
『卸売』は企業が購入する商品の量、『小売』は消費者への販売量を表します。『卸売量が減る場合、連動して小売も減少』 = 『個人消費が落ち込んでいる』という景気の判断材料です。
⑤ 賃金と所得と雇用
好況期に拡大して不況期に縮小、多くの企業はリセッションに入ってから解雇に踏み切るため、景気の遅効指標となります。通常、失業率が上昇し続ける場合はリセッションのシグナルです。
⑥ 金利とインフレ
インフレの加熱で利上げが実施され、金利が上がると企業の業績が低迷し、景気が鈍化します。
⑦ 建築工事の減少
景気後退に向かうにつれて、住宅開発やインフラ投資の減少に繋がります。それが原因で銅や鉄といった資源価格が下落、資源関連の株価の売り圧力が強まり、しばらく株安が続くとリセッション懸念が高まります。
リセッションが起こるとどうなるか
過去のリセッション
- 2000年3/24 〜 2002年10/9 ITバブル崩壊(株価下落率−49%)
- 2007年10/9 〜 2009年3/9 リーマンショック(株価下落率−57%)
- 2019年2/19 〜 2020年3/23 コロナショック(株価下落率−34%)
押さえておきたいポイント
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NBER(全米経済研究所)がリセッションかどうかを判断します。
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景気拡大期間の平均が58ヶ月に対して、リセッションの平均期間は11ヶ月です。
- 過去リセッションの株価下落率 ”30%〜60%”
最悪のリセッション
長期に渡るリセッションは『恐慌』と呼ばれています。リセッション入りする前から株価は既に未来を織り込んでいるので、リセッション後の株価暴落率は比較しても抑えられる確率が高いですが、恐慌レベルの景気悪化の場合は追随して大きく下落するリスクがあります。
リセッションと株価の動向
覚えておきたい値動き
- 金融政策の影響を受けやすい住宅価格は真っ先に下落しますが、他のセクターよりも回復が早いです。
- 最低限必要なモノを扱う『ヘルスケア・生活必需品セクター』も下落率が抑えられ、回復が早いです。
- 資源需要が後退する理由からほとんどのコモディティ価格は下落します。
リセッションが始まったあと、急激な10年金利の低下と利下げペースが早い場合、株価は2〜4ヶ月でボトム(底)をつける可能性があります。
リセッションに対する投資対策
- 現金比率を上げる
- 金にヘッジする
- 債券に投資する
- ディフェンシブ銘柄へ投資する(ヘルスケア、バイオ株、生活必需品◎)
基本的に現金比率を上げるのが最も安全ではあるが、セッション時に投資家は、金や債券といった安全資産にお金を流す傾向があります。